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奴は四天王でも最高

作 : 揚巻

 

(♂2 : ♀1 )

♂煉獄(れんごく)のボルザング:通称ボンバー。四天王で最強と思っている。
♀暗泉(あんせん)のアンザリータ:通称アン。四天王で一番かわいいと思っている。
♂重壘(じゅうるい)のドンファー:通称ドンちゃん。四天王で最も常識があると思っている。

 

※Nはアンザリータかドンファーが兼ね推奨です
 

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<声劇メモ>
・使用前に一度更新(F5)お願いします。
・間は自由にとってください。
・アドリブも大丈夫ですが、演者同士意思の疎通がとれる範囲でお願いします。
・言い回しや語尾は変えて頂いて大丈夫です。

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N:光という光を掻き消す暗黒の世界。魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)し、血の雨が降り注ぐ。

  混沌の中心にある魔王の居城。闇の炎に揺らめく謁見の間に四天王はいた。

  煉獄(れんごく)のボルザング、暗泉(あんせん)のアンザリータ、重壘(じゅうるい)のドンファー…

  三者の禍々しき姿が滅紫(めっし)の光に浮かび上がる。

 

ボルザング:飄塵(ひょうじん)のセジリスがやられたようだな…

アンザリータ:ククク…奴は四天王の中でも最弱…

ドンファー:人間ごときに負けるとは魔族の面汚しよ…

アンザリータ:しかしあの者…ヒトではない何かを感じる…

ドンファー:左様、セジリスに止めを刺したあの一閃(いっせん)…、気になりますねえ…

ボルザング:たとえ何者であったとしても、魔王様に刃向う者は全て灰燼(かいじん)に帰す…

      不穏の芽は早々に摘み取らねば。行け!ドンファー!奴を血祭りに上げろ!!!

【間】

 

アン:は?

ボル:あ?

アン:なんでアンタが命令すんのよ

ボル:いや、毎回こういう流れじゃねえか

アン:いやいやいや、そこは確かにそういう流れだけどさ、それは魔王様が言う台詞じゃん

ボル:毎度こうなるだろうが!だったら俺様が言ったって一緒じゃねえか

アン:いやいやいやいや、全然一緒じゃないし。ね、ドンちゃん

ドン:一緒ではないですねえ、いやあ、びっくりしましたー

アン:だよね。イキナリ『行け!ドンファー!奴を血祭りに上げろぉ』だもんね

ドン:上から目線でびっくりですよ

アン:ホント、あいつさ、ちょいちょい上から目線かましてくるよね

ドン:いやあ、魔王様に言われるのと全然受け取り方が違いますよねえ

アン:一緒にすんなって感じ!

アン・ドン:アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!

ボル:ちょっと待て!!

アン:あ?なによ?

ボル:……言い過ぎじゃないか?

アン:え、今の言い過ぎだと思うなら、ドンちゃんに上から目線で命令したことあやまってくださーい

ドン:アンさん、いいですよ、いつものことだから

アン:ドンちゃんが甘やかすからコイツどんどん付け上がってきてるんでしょう

ドン:ボンバーはあれくらいがちょうどいいんですよ

ボル:ボンバーじゃねえ!!ボルザング様と呼べ!!!

アン:様つけろとか、調子のってる

ドン:これは、調子のってますね

ボル:おまえら…

アン:大体アンタ、自分が四天王で最強とか思ってるでしょ

ボル:は?俺が最強じゃねえか

アン:うっわ、ガチだった、言ってて恥ずかしくない?

ボル:お前が聞いたんだろ!

アン:では!アンタが最強だと思ってる理由を二文字で述べよ!

ボル:それは俺が…って二文字でどう説明しろってんだよ!

アン:ば!か!だからよ!!

ボル:てめぇ!!

ドン:まぁまぁ…。確かに四元素の中で、火は一番強いっていう風潮はありますからねえ

ボル:ほらみろ!

アン:またドンちゃん甘やかすんだから!だいたいこいつは…!

 

【魔王登場の雰囲気】

 

ドン:アンさん!魔王様のお越しです…!

アン:…っ、後で覚えてなさいよ!!

 

【それっぽい音楽が流れる中、魔王登場】

 

ボルザング:飄塵(ひょうじん)のセジリスが彼奴等(きゃつら)に討たれました…

      しかしながら、奴は四天王の中でも最弱…、

      必ずや我らの力で勇者を名乗るニンゲン共を血祭りに上げてご覧にいれます…

アンザリータ:…魔王様!次なる命はワタクシ、暗泉(あんせん)のアンザリータに…。

       偉大なる魔王様に立てつく小童(こわっぱ)どもを

       一秒たりとも生かしておくわけにはまいりません。魔王様!!ワタクシめに!!

ドンファー:アンザリータ…、控えられよ…、そなたは魔王様にとって常世に湧きいづる一条の黒曜水。

      そなたに出陣の命を出しあぐねておられる魔王様の御心を推し量られよ…

アンザリータ:魔王様…出過ぎた真似を致しました…平にご容赦を…

ドンファー:次なる命は、私めに…この重壘(じゅうるい)のドンファー、愚かなる虫けらどもを土に還して…

 

【魔王、何か言う】

 

ボル・アン・ドン:………え?

 

【間】

 

ボルザング:え、あ、……ハッ!!煉獄(れんごく)のボルザング!

      魔王様の命に従い、獄炎(ごくえん)の火柱に奴らの亡骸を掲げてご覧に入れましょう!!!

 

【それっぽい音楽が流れる中、魔王退場】

 

ボル:(茫然としている)

アン:……え、え?今、魔王様、ボンバーに行けって言ったよね?

ドン:…言いましたねえ

アン:いや、だってさ、いつもの流れでいくとよ、

   風担当は予備知識なしで行くからまずやられます、と、

   んで、魔王様に謁見、んで、奴は最弱~の流れから『アン行きます!』と…

ドン:そして私が『いやいや待たれよアンさん、ちょっとは魔王様のお心を~』のくだりから、

   『では私が』となって行け、ドンファー……と

アン:…なってたわよね、今までは

ボル:………

ドン:ボンバー、大丈夫ですか?

ボル:なぜ、俺が…

アン:まぁ、考えられる可能性は、ひとつね

ボル:なんだよ

アン:ドンちゃん最強説

ボル:はぁ?!なんだと!!

アン:まぁ、聴きなさいって、

   別に私は、アンタがウザくて暑苦しくて汗臭くて嫌ってるから言ってるんじゃないのよ

ボル:どう聴いても嫌ってんじゃねえかテメェ!!

アン:つまり!ボンバーが魔王様に指名された理由は、今までの循環によって、

   ドンちゃんが最強になってしまったから…かもしれないってことよ

ドン:循環?

アン:そう、循環。さっきも言ったでしょ。

   風担当は予備知識なく、余裕しゃくしゃくで登場するから油断してやられちゃう、

   で、ドンちゃんが登場。鉄壁の防御の前に、為すすべなく散っていく勇者候補のクソガキ共!

ドン:いつものパターンですね

アン:アイツらは戦いで“経験値”っていうのを貯めていくわけでしょ、

   その法則が私達にもあるのだとしたら…

ボル:一番戦闘に駆り出されてるドンちゃんのレベルが上がってる…

アン:という、可能性

ドン:そうなんでしょうかねえ。あまり自分では実感湧かないんですが…

ボル:納得いかねえ!!!四天王で最強は火であるこの俺様だ!!それが土以下だと?あり得ねえ!!!!

   こうなったら証明してやる!来いドンファー!俺様と勝負だ!!!!!

ドン:そんな…、仲間内でやめましょうよ!

アン:そうよ!ここでアンタが負けたら誰があのガキ共倒しに行くってのよ!

ボル:負けると決めるな!お前が行けばいいだろ!ドンファーが最強なら、次はお前が行く番だ!

アン:だから!私は魔王様のお気に入りだから次に出るかはわかんないの!!

ボル:自分で言うな!

ドン:私も、最強という器ではないといいますか…大トリを務められる者ではないですよ

ボル:うるせえ!勝負しろドンファー!

アン:ボンバー!落ち着きなさいって!

ボル:落ち着いてられるか!そっちが動かないならこっちからいくぞ…

 

【ボルザングの周囲に禍々しい炎のオーラが集まってゆく】

 

ボル:……深奥(しんおう)に眠る憎悪の炎よ、黒きマグマとなりて主君に仇成す者を焼き尽くせ……

アン:ちょっとマジ?!ドンちゃん!防御して!

ドン:どうしてこんな…!

 

【ドンファーの周囲の地面がうねり出す】

 

ドン:牢固なる闇の穢土(えど)、太虚(たいきょ)より集いて堅塁(けんるい)と成せ!

 

【二人のオーラが最高潮!】

 

ボル:熔解魔剣 (メルトブリンガー)!

ドン:深淵層璧 (ジ・アビス)!

 

【ドンファーの繰り出す漆黒の防壁がボルザングの紅蓮の魔剣をがっちりと止める】

 

ボル:…なっ!メルトブリンガーを防いだだと…!くっ、もういちど…!

 

【アンザリータの頭上に紫の水のしずくが集まってくる】

 

アン:形骸を留めんとする愚かなる魂よ、晦冥(かいめい)の果てに飛沫(しぶき)となれ。

   迷夢回廊 (ソーンバビロン)!

 

【ボンバーの周囲に紫の水のベールが降りる】

 

ボル:ぐあっ!なんだこれは!何も見えん!

アン:蜃気楼よ。…アンタさ、何考えてんのよ!城ぶっ壊す気?!

ボル:邪魔すんな!

アン:するにきまってんでしょ!ばっかじゃないの!?

ドン:二人とも、落ち着いて…!

ボル:…俺は、魔王様をお守りする為にここまでやってきたんだ!

アン:それは私達だって同じよ!自分ばっかそうだと思わないでくれる?

   アンタなんて、ドンちゃんと違ってほとんど戦闘に出てないじゃない。

   最強だから滅多にでなくていいんだもんねー!!

ボル:自分が最後の砦であるという自負!それを持って何が悪い?!

アン:持つのは大変結構!私がアタマにきてんのは、自分が最強だからって私たちを下に見てることよ!

   ドンちゃんが最強だったら納得いかない!?

ボル:見下してなど…

アン:『俺様が土以下だと!?』とか言ったのどこのどいつよ!

ボル:…

アン:…私たちのこと、仲間として見てないってことでしょ?最強であればいいのよね!?

   ボルザング様と愉快な仲間たちってか!?四天王でもなんでもないわね、それじゃ

ボル:…確かに、土以下…というのは言い過ぎた。すまない…。

   だが、お前たちを仲間として見てないというわけじゃない…

アン:どーだか!!

 

【3人の禍々しいオーラが消える。静寂】

 

ボル:…最悪のシナリオを考えたことがあるか?

アン:何のハナシよ!?

ドン:アンさん、ボンバーの話を聞きましょう

アン:…

ボル:俺にとっての最悪のシナリオは、セージが逝き、ドンちゃんが逝き、アンが逝き、

   魔王城を守る最後の砦は俺だけになる。俺がやられれば、

   魔王様の玉座を人間のガキ共に穢され、魔王様自らがお立ちになるんだ。

   だが、魔王様の負けなんざありえねえ。…そもそも、俺がガキ共をぶっ潰す。絶対にだ。

   俺は最強なんだ。何がなんでも、俺が止める。だが俺が出る時、お前たちはもういないんだ。

   ずっと一緒にやってきた…お前たちが。魔王様をお守りする為だけに、一緒に頑張ってきたお前らを…

   人間ごときにぶっ殺された後なんだぞ!考えただけで、くそっ…

アン:…アンタ

ボル:最後を守る者っていうのは、そんなもんなんだ。後にも先にも自分しかなくなる。

   『ここでなんとか食い止めなければ』という思いと、

   『いや、心配はいらない、俺は最強だ』と自負することで…

 

【ボルザング、虚空を仰ぐ】

 

ボル:…いや、逃げていたのかもしれないな。

   最悪のシナリオになる日が、今日か明日かわからず、

   勇者候補がまた現れたと知らされるたびに、今度こそそうなってしまうのか…と心のどこかで怯えていた

   …情けない話だ

ドン:私もそういったことはよく考えておりますよ。今までは運良く打破できましたけどね、

   でも、ボンバーのような緊迫感はなかったかもしれません。

   私がやられても、アンさんやボンバーがきっと魔王様をお守りしてくれる、と思っておりましたから

アン:そんなこと言うなら、私だって同じよ。そりゃ、多少は魔王様に御寵愛を受けているかもしれないけど、

   力量的には、ドンちゃんやボンバーには敵わないってわかってるし…。

   私にできるのはさ、アイツらの行く先々に毒の沼作って、ちびちび体力を削っていくことくらいでさ。

   でも、無いよりはマシだからやってるけど…、私なんて居ても意味があるのかなって考えたり…

ドン:ああ、私もちょっと地形変えて遠回りにしたり…せこい時間稼ぎですよねえ…

 

ボル・アン・ドン:……………

 

ボル:ドンちゃん、すまなかった。俺は魔王様の命令に従う。俺にもしものことがあったら、頼むぞ

ドン:もしものことだなんて、そんな…

ボル:それはわからねえ。万が一ってこともあるからな

アン:アンタって…ウザいし、暑苦しいし汗臭いけど…生きて、戻ってきなさいよね。

  …仲間なんだから!四天王なんだからね!…一人欠けてるけど

ボル:…ま、俺が死ぬわけねえだろ。…じゃあな。後は頼む

 

N:世界を平和にする為、魔王を倒さんと、冒険の旅を続ける勇者一行。

  突如暗雲が立ち込め、雷鳴が鳴り響く。混沌とした空より、一人の男が姿を現した。

  火の鎧を纏い、雲をも焦がす。その目は黒き炎に燃えていた

 

ボルザング:貴様らか…飄塵(ひょうじん)のセジリスを倒したというのは…。

      (笑う)面白い!面白いぞ!!貴様らに敬意を表して、

      暗黒四天王最強である煉獄(れんごく)のボルザングがお相手しよう…

      さぁ!全力でかかってこい!!

 

N:勇者たちは自分たちの持てる力を出し切り、戦った。が、烈火の如きボルザングの攻撃に為す術はない

 

ボルザング:どうした?その程度か?

ボルザング:まだだ…!もっと楽しませろ…!

ボルザング:逃がしはせん…!さぁ…本当の地獄を見せてやる…!

 

N:彼らは地面に伏し、砂利を握りしめながら、息も絶え絶えにボルザングを見上げた

 

ボルザング:…ふっ、口ほどでもない。お前らごとき、ボルザング様が本気を出すまでもなかったわ。

 

【ボルザングの両脇にアンザリータとドンファーが現れる】

 

アンザリータ:あら、もう終わってしまったの。

       伝説に名高い、勇者一行の戦いぶりをとくと拝謁(はいえつ)したかったのに

ドンファー:所詮は人よ…我ら四天王の敵ではなかったようですなあ

ボルザング:(お前ら…!)

アンザリータ:冥途の土産に教えてあげる。我ら魔王様の盾となる暗黒四天王の名を!

ドンファー:仮に生き残った者がいるならば、我らの名を語り継ぐがよい、そして、怯えて生きよ…。

      我が名は、土塊(つちくれ)を鋼と化す『重壘(じゅうるい)のドンファー』…

アンザリータ:我が名は、紅血(こうけつ)を腐水(ふすい)と帰す『暗泉(あんせん)のアンザリータ』…

ボルザング:そして我が名は…世界を獄炎地獄と伏す『煉獄(れんごく)のボルザング』!!

      貴様ら人間など…、我ら四天王の敵ではないわ!!!!!!

 

ドンファー:ふっははははははははははははははははは!!!!

アンザリータ:おほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!!!

ボルザング:ははははははははははははははははははは!!!!

 

N:3人の四天王たちは黒雲に消え、いつもの青空が広がる。

  だが勇者たちは地に伏したまま、僅かに残った力で大地を殴り続けていた。

  四天王の圧倒的な力量の違いに絶望しながら…

 

【虚空に浮かぶ3人】

 

ボル:…って、なんで来た

アン:別にい、暇だったからよ

ドン:ちょっとは心配していたのでしょう?

アン:違うし!無様にピヨってるの見て笑ってやろーって

ドン:では、そういうことで

ボル:すまない…

アン:え?殊勝で気持ちワルい

ボル:てめえ…

ドン:ボンバー、どうしたんですか、謝るなんて全くあなたらしくないですよ

ボル:てめえら…いや…確かに本気は出さなかったが、時折、本気を出すべきか迷うところがあった…

アン:ふーん

ボル:魔王様をお守りする最後の砦だとほざいておきながら、無様なものだ。

   自身が最強だと自負し、まだ勇者として覚醒したかもわからんガキ共に押されるとは、情けない…

アン:そう思えたなら、いいじゃない。今からまた最強になればさ。器はあるんだから

ドン:魔王様は、それがおわかりになったからこそ、ボンバーを推挙されたのかもしれませんね

ボル:ドンちゃん、これからも俺に二番手をやらせてくれないか。

   魔王様の脅威になるかもしれぬ輩を、いち早くこの目で確かめ、粉砕したい

ドン:それは、魔王様がお決めになることですよ。私は魔王様の命に従っただけですから…

アン:ドンちゃんは謙虚ねえ。まぁボンバーも、今回の一件で上から目線がなくなったようでなにより

ボル:だが俺は、四天王最強だというプライドだけは持ち続けてゆくぞ。それに恥じぬ己を磨いていくつもりだ

アン:はいはい、ボルザング様最強ー!

 

【3人、笑う】

 

ドン:ではアンさん、勇者候補も排除したことですし…セージくんのところへ参りましょうか

アン:そうねー

ボル:は?せーじ?

アン:そうよ、飄塵(ひょうじん)のセジリス。アンタも行く?

ボル:アイツ、死んだだろ…

アン:まぁ、死んだけど

ボル:じゃあセージのとこ行くってなんだよ、墓参りか?

アン:何言ってんの…って、え?アンタまさか知らないの?

ボル:はあ?

ドン:セージくんは蘇るんですよ

ボル:…は?何だって?よみがえる?

アン:勇者候補をやっちゃった後で、セージは生き返ってんの

ボル:生き返れるのかよ!?

アン:だって、毎度毎度風担当がやられるたんびに、四天王クラスの魔族を探してたんじゃ大変でしょ

ドン:セージくんはそこが強みですよねえ。戦闘力は並ですが、

   勇者候補たちの前で演技して倒されて…というのを繰り返せるあたり、感服します

アン:あれがあるから、勇者候補のガキ共調子こいて油断するんだよねー

ドン:おかげで仕事が楽です

アン:ねえねえ。たまに、セージが勝つときあるって知ってた?

ドン:えーそれは知らなかったですね

アン:セージにやられるとか、今期の勇者候補はどんだけ惰弱なんだよって魔王様と笑ったわ

ドン:そんな時は教えて下さいよー

アン:ああ、ごめんねー。セージってさ、そういう隠しネタ結構持ってるから、今度聞いてみてよ

ドン:それは楽しみですねえ

アン:じゃあ、行こうか

ドン:はい

ボル:…

アン:アンタ来ないの?ボンバー

ボル:いや…俺は…いい、かな

ドン:久しぶりの戦闘で疲れたでしょう。ゆっくりするといいですよ

ボル:あ、ああ…

アン:じゃあ、ちょっと逝ってくるから、また謁見の間でね

ドン:ボンバーお疲れ様

 

【アンザリータとドンファー消える。虚空に残されるボルザング】

 

ボル:奴が最強じゃねえか、こんちくしょう……

 

(ちゃんちゃん。)
 

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